【書評】田村淳「日本人失格」を読んでみて、自己を大事にする意識が強くなった件
こんにちは、駄菓子です。
今回は、つい先日発売されたばかりの、話題の新書
田村淳さんの「日本人失格」を読み終わったので、書評をしたいと思います。
著者は、皆さんご存知、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんです。
日本人失格とは
ツイッターで意見を言ったら大炎上、一般人からのクレームにメディアや企業は振り回され、人と違うことをすると嫉妬され足を引っぱられる...最近の日本はとかく息苦しい。なぜ他人を叩き、無難を好み、みんなと同じになりたがるのか?そんな空気に抗うように、タレント「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳は、好きなことをやり続け、テレビ以外の分野にも活動の幅を広げている。なぜそんな生き方ができるのか?芸能界の“異端児”が著す初の自分史、日本人論、そして若い人たちへのメッセージ。(帯より)
と書かれているように、この本は田村淳さんの
どのように日々を過ごすべきなのかという人生観や、
いまの日本をどのように見ているのか、などが書かれています。
同調圧力VS個
本書の至るところで、著者は日本という国が均質化していることを憂いています。
テレビ番組の場合
このように、今やどのテレビ局の番組スタッフも、芸能人に牙を剥かせない均質化を求めている。~中略~「安心・安定の番組作り」という箱の中に芸能人を無理やり押し込めている。逆に、その箱からポンッと飛び出そうものなら、排除しようとさえするのが、テレビの現状なのだ。(p.33)
過去にコメンテーターをしていたワイドショーで、
本音でズバズバコメントしまくっていた淳さんは、
コメントの内容が番組の意向と沿わなかったり、
触れることがタブー化されている大物芸能人についてコメントしようものなら、
たちまちスタッフや番組に矛先が向かうために、
淳さんのコメントが徐々に避けられるようになっていったそうです。
いま、日本のテレビは異様なまでに他人の顔色を窺い、
下手にチャレンジができなくなっています。
いわゆるBPO(放送倫理機構)や、異常にモラルを気にする視聴者のクレームなどが原因です。
企業の場合
大企業ほど、この傾向が強い。大企業はこれまでのやり方が成功してきたから大企業になった。人間、成功してきた方法を変えようとは思わないし、それにダメ出しもできない。この方法ではもうダメだと思ってても、先人のやり方を否定できないから、身動きが取れなくなる。(p.51)
著者はシリコンバレーにある「Facebook」社を見学した際の出来事が強く印象に残っているそうです。
Facebookの社員は年齢に関係なく、いろいろな事にチャレンジする環境が揃っており、仮に失敗したとしても責任を取らされることはありません。
その代わり失敗したら、
①何故失敗をしたのか考える
②次回から失敗しないよう原因を分析する
これらが求められる環境なのだそうです。
一方、日本の企業というのは大企業になればなるほど、失敗が許されないので、
下っ端の意見は無視され、年功序列で、上司の言うことが絶対になります。
部下は上司の顔色を窺いながら企画を出す。
それゆえに、保守的な案が多くなり、
結果として企業の成長には繋がらないのだと著者は述べています。
日本の同調圧力とピース綾部
本書を読み思ったのが、やっぱり日本は同調圧力が強い国だよなぁ~っていうこと。
著者は本の冒頭で、NY行きを決意したお笑い芸人・ピース綾部を称賛しています。
そんなお笑い業界に、うれしいニュースが飛び込んできた。ピース綾部祐二のアメリカ進出だ。英語がしゃべれるわけでもないし、まともな演技の下地もないのに、それでもヤツはニューヨークでコメディ俳優を目指すそうだ。~中略~(又吉の芥川賞受賞を受け)自分はどうすべきか。さんざん悩み考えた末の結果がアメリカ進出だったと思う。今いる場所から1歩を踏み出してみる、踏み出そうとしている。それを実際やるかが、その人間の魅力につながっていくのではないかと思う。(p.44)
僕はこの文章を見たとき、本当にその通りだと思ったし、
淳さんの考え方はとても共感できるな、と思いました。
以前、僕もTwitterで軽く触れたことがあるのですが、
なぜ綾部さんが馬鹿にされるのかが理解できないんです。
誰かに迷惑をかけるわけでもないのに、なぜ挑戦する前から「綾部には無理。」だとか、「世間知らず。」という言葉が投げかけられるのか。
僕は綾部さんの知り合いでも何でもないですけど、
ネットでこういう意見を見るたびに腹が立ちます。
仮に行ってみて綾部さんが向こうで成功できず帰ってきたとしても、
それでいいじゃないですか。
失敗しても、「あ~、難しかったんだね。でもよくチャレンジしたじゃん。また日本で頑張れよ!」
こう思うだけでいいのにな~って僕は常々思います。
もちろん日本人みんながこういうマイナスな考え方をしているとは思いませんが、
こういうチャレンジを馬鹿にする風潮が僕は凄い嫌だなって思います。
これは綾部さんの件に限らず、引用で紹介した企業でも同じだと思います。
僕は所詮アルバイトしか、したことのない大学生ですし、
企業がどういう風に動いているのかはあまりよく分かりません。
仮に本書で紹介したような風潮が大企業で強いのなら、僕は大企業なんて入りたくないし、
自分が上司になったら、後輩の可能性の芽を摘むようなことはしたくないなぁと再認識しました。
日本の大問題【思考停止】と【依存体質】
人と同じように動いていると、ある意味ラクだから、自分でものを考えなくなる。人についていけばいいとなる。今、日本を覆う一番の大問題はこの【思考停止】と【依存体質】にあると思う。~中略~自分がどういう生き方をしていいのかわからないから、とりあえず友達と同じでいれば、何かあった時にお互いに傷を舐め合えるし、それなりに安心なんだろう。(p.190)
日本人は基本的に依存しやすい性質だから、「ウサギとカメ」や、「アリとキリギリス」のように、
コツコツと働くを教育されるのかもしれないと著者は述べています。
しかし、日本人は勤勉だと言われるが、著者からすればむしろ怠け者であるというのです。
【思考停止】・【依存体質】の行く末
そうやって何事にも疑問を持たず、国や、誰かが作ったシステムや制度やルールを、言われるがまま信じて守って、そうやって【思考停止】と【依存体質】できたツケが、だんだんのしかかってきている気がするんだよね。特に最近の日本は。~中略~日本という大きなシステムは変えられないけど、自分を変えることはできる。そして、同調圧力が強まってきている今の日本だからこそ、僕はみんなそれぞれの"個"を磨いて、バラバラに動いていったほうがいいと思う。(p.194~195)
著者は日本の現状に強い危機感を抱いています。
気付いたら年金制度だって崩壊しているし、気付いたら武力を行使できる国になりつつある。
少子高齢化や相対的貧困がヤバいのは分かっているけど、なんとなく生活できているし大丈夫だろう。
皆が「大丈夫だ」って言うし、政治家もこの国に希望はあると言っているから。
仲間が大事?個を犠牲にするな
「誰かが〇〇するから、私(僕)も〇〇する。」
生まれてから、何度この言葉を聞いてきたことでしょう。
僕も何度も聞いてきたし、ぶっちゃけ何度も言ってます。
小学生のケンカでよくある、「〇〇だってやったもん!」もある意味同じですよね。
自分の責任を軽くするために、相手を並列させることで気持ちを楽にする。
大学生でも身近な例でいえば、
「〇〇と同じ授業をとって、一緒に単位落としたぜ~。」みたいな。笑
単位を落としたという事実は変わらないけど、ただ落とすよりはマシみたいな。
これだって、1年生の頃の僕はよくやってました。笑(落としてはないけど)
でも、2年生になってからは誰とも授業の相談なんてせずに、たまたま被れば一緒に受けるか~って思うようになりました。
何故かというと、思考停止して、ただ友達がいるという安心感に違和感を抱いたからです。
別に授業を一緒に取ること自体は否定する気ないですが、
どの授業も一緒に取ろうとする人がたまにいますよね。正直理解できないです。
どんだけ群れたいんだよって思います。
これは、群れるという行為を通じた思考停止なのかなぁと本書を読み思いました。
誰かが一緒に授業を取ってくれれば、すごい楽ですからね。
その代わりどの授業が自分には合うのか考えることを拒否する、思考停止に繋がりますよね。
最終的には、「〇〇が××社にエントリーするらしいから、一応俺もしておくか。」
というように、自分の人生の選択肢まで思考停止に陥るのかなぁとか思ったり。
別にペシミズムじゃない
そして、【思考停止】・【依存体質】の行く末で述べたことについて、
僕は別にペシミスティックになりたいわけではありません。
しかし、日本がこれからどんどん下降線を辿っていくのは目に見えています。
少子高齢化によるGDP低下、AI(人工知能)普及などによる職業の減少は変えようのない事実だからです。
AIに奪われない職業を目指すか!ということを言いたいのではなくて、
もっと個人が周りを気にせず生きていくという意識が大事であるということを言いたいです。
周りが大丈夫だと言っているから大丈夫だと思うのではなく、
本当に大丈夫なのか?、敷かれたレールの上を歩くだけでいいのか?
本書を読み、尚更強く考えるようになりました。
まとめ "個"を大切にする
本書のタイトルは、「日本人失格」です。
日本で美徳とされてきている、「慎ましく上の者に従って生きていく」という生き方を、
著者はむしろ反対の考え方で生きているため、このようなタイトルを付けたそうです。
つまり、「堂々と自己主張をし、自分の人生を生きていく」といった感じでしょうか。
僕はこの生き方が良いなって思うし、こういう人生を歩めるように今から努力していきたいと思います。
誰かに敷かれたレールの上を歩く人生は楽でいいかもしれません。
でも敷いたその人がいなくなったら、レールは途切れその瞬間に目の前は真っ暗になるでしょう。
自分の現状を認識し、"個"を磨く。
何をしたいのかわからなくても、自分が興味のあることにとりあえず挑戦する。
仮に失敗しても、"個"は磨かれるし、それが大事だとわかってくれている人はきっと味方になってくれる。
本書は、そんな悩みながらも自己を高めたいと思う人のバイブルであると、僕は思います。
僕の下手くそな書評ではありますが、多くの人に本書を読んでほしいと思い、記事にしました。
この記事に書いたようなことだけではなく、
淳さんが如何にして多彩な才能を発揮するようになったのか、
相方・亮さんとの関係性など、他にも面白いことが沢山書かれています。
ぜひ読んでみてください!
本日も記事を読んでいただきありがとうございました(^^)/